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実践しているポモドーロ・テクニックをいまさら紹介する

2026-02-13

ポモドーロ・テクニックを実践している

キャリアの中で何度か挑戦してはいつの間にかやめてしまっているポモドーロ・テクニックだが、最近かなり身についてそこそこ長く続いているルーティンであるので、これを紹介したくなった。もうキャリアは15年ににもなり何を今更、、といった感じであるが、仕事術なんてなんぼあってもええですからね。

ポモドーロ・テクニックとは

そもそもポモドーロ・テクニックは、1980年代にイタリア人のフランチェスコ・シリロ(Francesco Cirillo)によって考案された時間管理術だ。「ポモドーロ」はイタリア語で「トマト」を意味し、シリロが大学生時代に使っていたトマト型のキッチンタイマーに由来する。当時、勉強中に時間を無駄にしていることに気づいた彼は、キッチンタイマーで時間を区切ることで集中力を高める方法を編み出した。この手法は2009年に著書『The Pomodoro Technique』として出版され、世界中に広まった1

このテクニックの最大の長所はそのシンプルさにある。25分間の作業と5分間の休憩を1セット(=1ポモドーロ)とし、これを繰り返すだけだ。キッチンタイマーさえあればすぐに実践できてしまう(もっとも今は専用アプリや専用タイマーも数多くあるが2。4ポモドーロ(約2時間)ごとに15〜30分の長い休憩を取る。1

一般的なメリットと私見

メリット

ポモドーロ・テクニックの代表的なメリットは、作業への取りかかりやすさだ。なかなか作業に集中できないという経験は誰にでもある。これを乗り越えるには「とにかくまず作業を始める」ことが有効だとされる。いわゆる「作業興奮」で、まるで慣性の法則のように、一度動き出せば勢いがつく脳の仕組みを利用するのだ。しかし当然、その第一歩がなかなか踏み出せないから集中できないのである。ポモドーロ・テクニックはこの第一歩を「まずは25分間だけ集中しよう」というハードルの低さに置き換えてくれる。マラソンのときに「次の電柱までとりあえず走ろう」と考えるのとよく似ている。25分終われば休憩すればいい。そう思えるからこそ、とりかかれるのだ。

加えて、時間を区切ることでタスクにどれくらいの時間がかかるか自覚できるようになる。ポモドーロを重ねるうちに自分の作業速度を把握でき、見積もりの精度が上がっていく3

また、集中中は外部からの割り込み(メールや電話)と内部の誘惑(SNSを見たい衝動など)の両方に対処しやすくなる。シリロは特に「内的要因」への対処として、25分という短い目標設定の効果を強調している3

私見

私はオリジナルのペースどおり、25分の作業と5分の休憩を繰り返していて下記のようなメリットを感じている

時間割ベースで休憩が入る。 通常のワークフローでは、タスクが終わったら一呼吸入れたくなる。しかしこれだと、タスク完了の満足感に浸ってしまい、次のタスクに取りかかるまでにダラダラと時間を使いがちだ。一方で時間で区切ると、タスクの途中で休憩が入る。これは一見デメリットに感じるが、むしろ時間で区切るほうがタスク間の無秩序な休憩を防ぎ、次のタスクへのコンテキストスイッチを軽くしてくれる。

ポモドーロごとにメッセージ確認する習慣がつく。 集中しているとメッセージ確認はついつい怠りがちだ。フロー状態を必要とする各種作業と常に割り込まれるメッセージアプリは極めて相性が悪いためだ。集中時間開始時にメッセージ確認する習慣を身につけることで、できるだけコミュニケーションを怠らないようにすることができる。

細かいスプリントで自分のベロシティを測れる。 ポモドーロごとに自分の作業を振り返ることができる。自分がやっている作業が本当に今やるべきなのか、そのやり方しかないのかを確認できる。よくあることだが、ミーティングの参加案内メッセージを書いていると25分まるまる使ってたなんてこともある。こういうかけた時間と成果が比例しないものはとっとと終わらせるべきなのだ。

反論:フロー状態の中断

一方で、25分で強制的に区切ることへの批判も根強い。特にプログラミングの文脈で指摘されるのが、フロー状態(深い集中状態)への悪影響だ。

プログラマーがコードの全体像を頭に読み込み、変数のスコープやスタックトレースを把握するには10〜20分のウォームアップが必要とされる。25分のポモドーロでは、ようやくフローに入りかけたところでタイマーが鳴り、5分の休憩で頭の中のコンテキストが消えてしまう。次のポモドーロの最初の5〜10分は、前回の状態を思い出すだけで終わってしまう。実質的な作業時間は大幅に減ってしまうのだ4

Redditのr/productivityやr/programmingでも、この問題はたびたび議論されている。「25分のタイマーが鳴るたびにマネージャーに割り込まれるのと同じだ」「タスク切り替えには23分のリカバリ時間がかかるという研究もある。5分の休憩のために23分を失うのは割に合わない」といった声がある56

こうした批判から、50分作業/10分休憩や、90分作業/20分休憩といったより長いサイクルを採用する人もいる。フローに入ったら時計を無視して自然な切れ目で休憩を取る「Flowtime Technique」という代替手法も生まれている7

それでも25分でいいのか

上記のデメリットは確かにあり、25分はやや短いのではないかという反論は確かにある。しかし私がそれでも25分を守っているのには下記のような理由がある。

最初の一歩が軽い 25分の作業時間というのは極めて短くあっという間に終わる。これを経験的に知っているからこそ最初の一歩を軽く踏み出せることができる。これを90分作業にしてしまうとなかなか踏み出せなくなってしまう。何もしていない状態からの90分はとてつもなく心理的な負荷が大きいのだ。

会議・ミーティングとの相性 我々は一人で仕事しているのではなく、チーム内あるいはチーム外とのやりとりは不可欠である。そのため一時間ごとにミーティングが入ることも少なくない。このとき、90分間の連続した作業時間はなかなかとれないものである。25分であれば会議の合間にとりあえず1単位、あるいは一時間あれば2単位とることができる。この取り回しの良さがオリジナルのポモドーロ・テクニックの良いところである

コミュニケーションのリードタイム 各種コミュニケーションツールの確認ペースとしてもちょうどいいと感じる。非同期のメッセージングであっても30分以内のレスポンスはチームワークでは重要だ。よくプログラマの仕事術で「通知は切れ」「なるべくメッセージ確認の頻度を減らせ」8 といったものがあるが、この考え方は古く、Brilliant Jerk 9 になりかねない。連絡の即レスは現代の信用を積み上げるのに最も効率的な方法の一つだ10

実践

ポモドーロ・テクニックはGTD(Getting Things Done)とも相性がいい。GTDは平たく言えばTodoリストの実践だ。

ポモドーロ・テクニックで重要なのはTodoリストを絶やさないことだ。ポモドーロ中の25分間はTodoリストを消化していくことだけに集中するのだ。

私は無印良品の縦長のメモ帳にTodoリストを書き溜めている。よくあるのが、一部のみ完了したが連絡待ちなどで全ては完了できなかった、という状態だ。GTDで重要なのは「物事を完了させた」という達成感を得ることである。そのため、粒度は細かくていいので、どんどん子タスク化していく。イメージとしてはマインドマップのようなTodoリストだ。終わったところに二重線を引いていく。こうすることで達成感を得つつ、ペンディング状態のタスクも表現できる。

Todoリスト

ポモドーロの休憩時間はこのTodoリストを見直す絶好のタイミングでもある。25分ごとに「次に何をやるか」を意識的に選び直すことで、優先度の低い作業にずるずると時間を使うことを防げるのだ。

ルーティン

以下が私の具体的なポモドーロ・テクニックの実践である。

1. ポモドーロ25分スタート 
2. Slackを確認する。
    - このときすぐには返信しない
    - 何らかのアクションが必要なものはすべて「後で」フラグをつけておく
3. Slack返信
    - 「あとで」フラグのものを処理していく
    - 調査が必要なものは手元のTodoリストに書き溜め、フラグを消去していく
4. Todoリストを消化していく
5. 時間がきたら作業中断

メッセージアプリと眼の前のTodoリストに集中するのがポイントだ。TODOリストが不完全な場合、「集中タイムが始まったが、なにしていいかわからない」という失敗に陥りがちだ。なんとなくやることはあっても、作業へ落とし込めてない状態である。これには、TODOリストに「〇〇のアイデア出し」のような具体性の欠けた項目しかない、という状態も含まれる。

こういった場合は次の集中タイムはTODOリストのブラッシュアップに時間を使おう。やることが明確になってないと、ただただ時間を溶かしてしまう結果になるだろう。

このプラクティスが向いてない人

ところで、これは私のような仕事環境であればフィットするだろうが、もちろん向いてない仕事環境の方々もいることは認めなければならない。

例えば、勉強や自サービス開発中のエンジニア、研究者などはそれにあたるだろう。他人とのコミュニケーションを避け、できるかぎり集中したいクリエイターの方々もあまり向いてないかもしれない。

これは私のような職業プログラマ、特に常に誰かとの調整にさらされているような職種の方にフィットするプラクティスである。

まとめ

リモートワークだとある程度規律した状態を自分の努力で作り上げる必要が出てくる。一方でミーティングやチャットでのコミュニケーションの重要性は増す一方だ。そういったユースケースとポモドーロ・テクニックは非常に相性がいいと最近感じている。ぜひ実践していただきたい。