guntamania

SIerをやめて思うこと。

[2019-03-26 Tue]

SIerを退職し、ベンチャー企業に入社して1ヶ月が経った。

いろいろ書きたいことがあったがすでに良記事があり、 僕の言いたいことはほぼ網羅されていた。

日本の大企業に絶望してGoogleやスタートアップに転職する人が目立っている件 | 俺の遺言を聴いてほしい

すでに書かれたすばらしい記事のおかげで僕は何も言う必要がなくなった。 でもせっかくなので、ちょっと違う視点から書いてみたいと思う。

僕は一体なぜ給料をもらっているのだろうか

前職は大手SIerだった。 そこでは僕は平均の大卒ぐらいの額はもらっていたと思う。 理系の就職先としては悪くない額だった。 なので、金額自体に別段不満はなかった。

ただ、会社はどういう理由で僕にその金額を渡すのかわからなかった。 なぜこの金額なのだろうか? この金額で何を僕に期待しているのだろうか?

1

SIerをはじめとするシステム会社では、 プログラマの生産量をプログラムの行数で測定することがよくある。 1ヶ月に500行書くプログラマよりも1000行書くプログラマのほうが スキルが高い、 ということになるし、 1000行からなるプログラムよりも1万行からなるプログラムのほうが価値がある、 ということになる。

一方で、一般的なエンジニアはコードをできるだけ短く書こうとする。 言語選定もJavaよりもKotlinやRubyを選ぶし、 フレームワークもなるべく書かないですむものを選ぶだろう。 短く書いたほうがいい詳細な理由は省略するが、 より短く同じ内容を書いたほうが、 短時間で実装でき、バグが少なくなり、メンテナンス性も向上するのだ。

しかし、システム会社は 多くのソースコードをかいたプログラマに対して多くの給与を支払う。 システム会社にとって付加価値の大きいプログラマというのは、 行数を多くタイプするプログラマのことなのだ。

2

あるプロジェクトが炎上しがちだった。 すぐに炎上しては徹夜や休日出勤で対応していたため、 開発メンバーの残業時間は限度いっぱいの状態が続いていた。

僕はそんななか少しでも労力を減らそうと、 デプロイ(開発したアプリをサーバに配備すること) の部分を自動化することにした。

ひとりで空き時間を見つけてはデプロイ用のコードを書き、 結果的にはデプロイの工数を大幅に削減した。 今まで手作業で行っていた作業を90%以上削減したのだった。

そのほかにも施策をうち、チームの残業は日に日に減っていた。 おかげで、定時に帰れる日も出てくるようになった。

一方で給与面で見ると、残業代が減った分、サラリーが減ってしまった。

時間をかけて作業するプログラマに多くの給与をはらう。 システム会社にとって付加価値の大きいプログラマというのは、 長時間の作業に耐えるプログラマのことなのだ。

3

給与の支払いが評価に直結しているとすれば、 会社は僕のコーディング技術や作業の効率化に対しては大きな評価はせず、 むしろ、ひたすら時間をかける方法を評価していたことになる。

ソフトウェア開発というのは工数をかけないことに価値がある産業だ。 ソフトウェア自体の開発もそうだし、成果物である製品も、 特にビジネス向けの製品に関しては、なにかの作業を効率化したり工数削減することに価値がある。

にもかかわらず、工数を削っていく僕の給料は減っていった。 なぜそんなことが起こるのか、自分を納得させる説明ができなかった。 上司にも問い詰めたが、納得のいく答えは得られなかった。 僕はたっぷり工数をかけるべきだったのだろうか。 僕には答えがでなかったのだ。

4

以下のような記事もある。 ほとんどの会社員には、業務を効率化するインセンティブがない | 脱社畜ブログ

前職では会社はやはり僕の労働時間に対して賃金を払っていたのだった。 だから 1時間コーディングするよりも2時間コーディングするほうが価値があるし、 ワン・コマンドでのデプロイよりも一日かけるデプロイのほうが価値があるし、 ロースペックなPCで長時間作業することも同様に価値があるのだった。

しかし、そのような評価軸の会社にいると、 自分のエンジニアとしての市場価値はどんどん下がっていく。 これも僕が前職を辞めた理由のひとつだ。

未だ多くのシステム会社やSIerが工数重視の開発をし、 社内エンジニアの市場価値をどんどん下げているのかと思うと 暗澹な気持ちになる。

確かに前職でも開発自体はできていた。 開発を夢見て入った僕だったが、 こういった事情まではなかなか把握できなかった。 自分のように、市場価値を高めようと入社した新卒が、幻滅しないように願うばかりだ。